2025年の日本カーリング選手権で優勝を果たし、2026年ミラノ・コルティナコルティナオリンピックの代表決定戦(2025年9月)と世界選手権(2025年3月)に出場することが決まったフォルティウス。しかし、その道のりは決して順風満帆ではありませんでした。2021年にメインスポンサーであった北海道銀行との契約が終了し、チームはスポンサーゼロの状態からの再出発を余儀なくされました。
カーリングは競技人口が限られ、スポンサーを獲得しにくいスポーツの一つといわれています。フォルティウスの選手たちは、所属先がなくなった後、約7カ月間にわたり貯金を切り崩しながら活動を続けることになりました。この期間中、彼女たちは競技力を維持するために練習を続けながら、資金確保のための試行錯誤を重ねました。
クラウドファンディングへの挑戦
フォルティウスが資金調達のために行った大きな取り組みの一つがクラウドファンディングでした。2023年7月、チームは遠征費や練習環境の維持費を確保するためにクラウドファンディングを実施しました。
しかし、「ファンに負担をかけるのではないか?」という葛藤もあったといいます。それでも、カーリングを続けるため、そして恩返しの気持ちを込めて実施した結果、多くのファンが支援に応じ、チームの存続に貢献しました。
実際、2023年のクラウドファンディングでは目標金額の770万円を大きく上回る約1,095万円の資金が集まりました。また、2024年8月から9月にかけて行われたクラウドファンディングでは、目標金額700万円に対し、8,331,000円の支援を受けました。これらの資金は、主に海外遠征費や練習環境の維持費など、チームの活動資金として活用されています。
スポンサー獲得の難しさと努力
カーリングは、日本においてサッカーや野球のように大きな市場を持つスポーツではありません。そのため、企業がスポンサーになるメリットを伝え、チームの価値をアピールすることが重要になります。
フォルティウスは、企業に対してカーリングの魅力やチームの実績を伝えるプレゼンテーションを行い、少しずつスポンサーを獲得していきました。企業スポンサーのほかにも、地域の支援や個人スポンサーのサポートを受けながら、資金調達の幅を広げていきました。
さらに、2025年の日本カーリング選手権優勝をきっかけに、今後はより知名度の高い企業が新たなスポンサーとして名乗りを上げる可能性もあります。また、フォルティウスの選手たちがテレビCMや広告への出演依頼を受ける機会も増えるかもしれません。こうしたメディア露出が増えることで、カーリングの認知度向上と競技発展にも寄与するでしょう。
現在、フォルティウスは以下の企業からスポンサーシップを受けています。
- 加茂川啓明電機株式会社(2023年12月よりトップスポンサー) HPはこちら
- 社会医療法人 柏葉会 柏葉脳神経外科病院(2024-2025シーズンもオフィシャルスポンサー契約を継続) HPはこちら
- 北海道でんき保安協会(2022年4月からトップスポンサーとして支援)HPはこちら
フォルティウスの歴史とメンバー
チームの歴史
フォルティウスは2011年に北海道銀行の支援を受けて「北海道銀行フォルティウス」として結成されました。2014年のソチオリンピックでは日本代表として出場し、5位入賞という快挙を成し遂げました。その後、2015年の日本選手権で優勝し、さらに実力を高めていきました。
2021年に北海道銀行のスポンサー契約が終了し、チームは「フォルティウス」として独立。
現在のメンバー
氏名 | 生年月日 | 年齢 | 出身地 |
---|---|---|---|
吉村紗也香 | 1992年1月30日 | 33歳 | 北海道北見市 |
小谷優奈 | 1995年5月26日 | 26歳 | 神奈川県相模原市 |
小野寺佳歩 | 1991年11月11日 | 33歳 | 北海道北見市 |
近江谷杏菜 | 1989年10月12日 | 35歳 | 北海道北見市 |
小林未奈 | 2002年7月20日 | 22歳 | 北海道釧路市 |
フォルティウスのメンバーのうち、近江谷杏菜選手、小林未奈選手、小谷優奈選手の3名は、スポンサー企業である加茂川啓明電機株式会社に所属しています。一方で、吉村紗也香選手や小野寺佳歩選手については、特定の企業に所属しているとの情報はありません。
チームの課題はやはり資金面?

フォルティウスは、2026年のミラノ・コルティナ五輪出場を目指し、さらに厳しい戦いを続けています。今後も安定した資金確保が課題となるでしょう。クラウドファンディングやスポンサー獲得の工夫を続けることで、競技に専念できる環境を整えることが求められています。
また、2025年の日本カーリング選手権での優勝を受け、今後は知名度の高い企業が新たなスポンサーとして加わる可能性もあります。さらに、選手たちへのテレビCMや広告出演の依頼が増えることで、より広くカーリングが認知される契機となるかもしれません。こうしたメディア露出が増えれば、競技の発展だけでなく、次世代のカーリング選手の育成にもつながるでしょう。
まとめ
フォルティウスの資金調達の道のりは、決して楽なものではありませんでした。スポンサーゼロの状態から、日本一を勝ち取るまでには、多くの努力と工夫が必要でした。資金面での困難がありながらも、選手たちは練習を継続し、遠征を行い、競技力を維持し続けました。その背景には、クラウドファンディングの成功や地域の支援があったことは言うまでもありません。
カーリングという競技の特性上、資金調達の難しさは今後も続くと考えられます。遠征費や設備維持費は大きな負担となるため、今後もスポンサーの獲得や資金調達の工夫が不可欠です。とはいえ、フォルティウスは持ち前の粘り強さとチームの結束力でその壁を乗り越えていくことでしょう。
また、2025年の日本カーリング選手権での優勝により、チームの認知度が向上し、新たなスポンサーや支援者の関心を集める可能性が高まっています。メディア露出の増加とともに、CM出演や広告契約といった新たな収益源が生まれることも期待されます。
今後も、彼女たちのさらなる飛躍とカーリング界の発展を願い、引き続き応援を続けていきたいと思います。